Interview Relay ~42のストーリーで想いを繋ぐ~

My Tokyo Marathon is…? 大きな力で想いがひとつになることを願って

My Tokyo Marathon is…? 大きな力で想いがひとつになることを願って

東京マラソンへの想いを42のストーリーで繋ぐインタビューリレー。

今回は東京マラソン財団社会協働事業本部の山本悦子さんです。

チャリティ事業、ボランティア事業およびサステナビリティ関連の統括を担当する立場から見た東京マラソンの魅力や価値、東京マラソン財団が取り組んでいる社会貢献活動、そして節目となる2027年の20回大会に向けた展望などを語っていただきました。

 

ボランティア募集の記事をきっかけに

東京マラソン2019の時の様子(赤いウェアを着用したスタッフのうち右から二人目)。2007年の第1回大会に第1回大会にボランティアセンターのスタッフとして関わったことが東京マラソンとの出会い。

――過去の経験や背景なども踏まえ、東京マラソン財団の職員になられた経緯を教えてください。

 市民ランナーとしてフルマラソンやハーフマラソンを年に数回走っている中で東京マラソンの初開催を知りました。しかし、すでにエントリーしていた大会と開催日が近かったため、ランナーとしてのエントリーはしませんでした。

何かの形で東京マラソンに参加したいと思っていたところ、ボランティア募集の記事を見つけ、ボランティアリーダーの養成研修に申込みをしました。それがきっかけで2007大会からボランティアセンターのスタッフとなり、その後2013年7月から財団職員になりました。

 

――東京マラソンの職員になる以前は東京マラソンのことをどのように感じていましたか?

 第一回目である2007大会からスタッフとして携わっていましたが、子育てとの両立が難しくなり2013大会は業務を離れていました。そのため2013大会のランナー受付ではボランティアとして参加、大会当日は観客としてコースの数カ所で友人を応援しながら、スタッフではない目線で大会を見た時に、あの雰囲気、熱気、情熱をもっと近くで再び体感したいと思ったことをよく憶えています。

 

走ることを通じて「社会に貢献する」新しい寄付の形

東京マラソン2011に開始して以来、海外からも多くのチャリティランナーが参加している

――東京マラソン財団として取り組んでいるチャリティを含む社会貢献活動について教えてください。

 東京マラソンを通して寄付先団体と協働して行うチャリティ活動の他、東京マラソン財団スポーツレガシー事業では寄付金を活用しアスリートやパラスポーツの支援などの取組みを行っています。また、ボランティア活動の場の提供の他、普段の生活にも役立つようなスキルアップ講習の実施や、他のマラソン大会などのボランティア募集・育成への協力も行っています。

大会や財団事業を通したサステナビリティ関連の取組みでは、大会のオフィシャルパートナーと協働したリサイクル活動の他、電気自動車を大会で活用することでCO₂排出量の削減を図り、グリーンマイレージプログラムでは緑の保全活動などに寄付も行っています。

 

――なぜ、マラソン大会がサステナビリティやDEI(ダイバーシティ(多様性)・エクイティ(公平性)&インクルージョン(包括性))などの推進に向けた取組みやチャリティなどの社会貢献活動を行う必要があると考えますか?

 東京マラソン財団は団体のミッションのひとつとして「⾛る楽しさで、社会をよくする。」を掲げています。そんな中、東京マラソンチャリティは、東京マラソン2011から日本における寄付文化の醸成を目的としてスタートしました。

当時から、海外では「チャリティラン」の概念が広く浸透していましたが、日本では「寄付をして走る」というスタイルがまだまだ認知されていない状態でした。走ることを「楽しむ」だけでなく、走ることを通じて「社会に貢献する」新しい寄付の形を、ランナーだけでなく、寄付を考えている人たちにも広く伝えていくことは、世界7大大会アボット・ワールドマラソンメジャーズ(AbbottWMM)の一員として、また日本で最大のマラソン大会としての使命だと考えています。

 

――大会としてチャリティを通じて社会に還元したいこと、今後の取り組みについて教えてください。

 「走る」ことを通じてチャリティをすることはもちろんですが、今後はチャリティランナー以外のランナーやボランティア、また大会に協力していただいている企業・団体の方々とともにチャリティの輪を広めていくことを目指していきたいと思います。

その中のひとつの取り組みとして、東京マラソン財団チャリティ RUN with HEARTのウェブサイトでは、2024年10月からブログ*1を始めました。チャリティプログラムに参加していただいている寄付先団体から、団体の活動紹介や集まった寄付金によって行われている事業の紹介、また団体のボランティア募集などの告知をしていただくことで、大会を通じて、世界の社会課題や、課題に対してどのような行動が必要なのか等に目を向け、考えていただけるような機会に繋がればと思います。

 

ランナー、ボランティア、観客と東京がひとつになる

シカゴマラソン2015でボランティア活動をした時の山本さん

――“東京”にとって東京を舞台に開催する東京マラソンの存在、価値は何だと思いますか?

ハートの紙吹雪が舞うスタートから東京の名所を巡り、東京駅前・行幸通りでフィニッシュするコースで開催する東京マラソンは東京を代表する早春の風物詩、象徴的な存在であり、東京だけではなく日本のイメージにもつながっていると考えています。そして、ひと同士がつながり、ひとつになった大きな力が存在することが価値だと思います。ランナー、ボランティア、観客とまちが一体となるイメージ作りができていれば嬉しいです。

2015年にシカゴマラソンのランナー受付でボランティアをした時、地元のボランティアの方に「日本へ旅行した際、日本人にとても親切にしてもらった。今日は私があなたに親切にする番だ」と言われ、大変楽しいボランティア活動を経験しました。人へのおもいやりもつながり、いつか誰かに戻ってくる、東京マラソンがその出発点や通過点になれたら嬉しく思います。

 

――エリート選手、一般ランナー、ボランティアにとって東京マラソンの存在、価値とは何だと思いますか?

 大会が終わるとアンケートを読むのを楽しみにしています。その中には、東京マラソンを「夢」や「憧れ」と表現してくださる方、大会当日は「晴れ舞台」、そしてその思い出は「宝物」とも書いてくださる方もいます。「感動で涙がこみ上げた」というご意見を泣きながら読むこともしばしばあります。私と同じく、人生が変わるきっかけとなった方もいました。

大会を迎えるプロセス、大会期間中のさまざまな出会い、大会当日の達成感、それらは大会が終わった後の日常においてエッセンスになったり、次の目標を持つきっかけになることもあると想像します。

そうして、みんなが主役となり、出会いや経験から生まれるそれぞれのストーリーに感動する一方で、日常の有難さを再認識するための「東京マラソン」という非日常であるようにも思います。

また、コロナ禍の2021大会(2022年3月開催)では、たくさんのランナーやボランティアから「開催してくれてありがとう」とお礼の言葉をもらい、東京マラソンを開催すること自体に大きな意味がある、と感じました。

 

――東京マラソン財団は、「世界一安全・安心な大会」、「世界一エキサイティングな大会」、「世界一あたたかく優しい大会」を3本の柱にして、『世界一の街東京で、世界一の東京マラソン』を実現していきたいと掲げています。これについて社会協働事業本部としてどのように感じ、どのような取り組みを行なっていきたいと考えていますか?

 大会は参加者・関係者だけではなく、コース沿道の施設や団体の皆さまなど多くの方のご協力により開催されています。また、東京というまちをお借りしているため、国内外から観光で訪れた際に観戦してくれることもある一方、住民やお勤めの方には何かしらの影響を与えてしまっていることもあります。そのような方々にとっても、サステナビリティに関する取組みが、まちや環境に還元されていくことを知る機会があるかもしれません。

さらに、現在では屋外でスポーツをすることが難しい酷暑の日も多くありますが、走ることができる自然環境があることや交通規制などにご協力いただく皆さまのおかげで走ることができる環境があることにも感謝しつつ、障がいのある方などから「道路の反対側に渡りたい」などのご相談をいただいた際には耳と心を傾けられるような心の環境も大切したいと考えています。

大会に関わる人にとっては常に気づきがあるような、それ以外の方々にとっても共感や賛同の気持ちを持っていただけるように、さまざまな取組みによってあたたかく優しい雰囲気作りをしていきたいと考えています。

 

いつまでも走り続けられる環境を保てるように

東京マラソンが持続可能なものとなり、たくさんの方にとってなくてはならないものになってほしいと願っている。

――ご自身にとっての東京マラソンとは? #MyTokyoMarathon is…?

Sustainable=「持続可能性があるもの」。

東京マラソンが持続可能なものとなり、たくさんの方にとってなくてはならないものになってほしいという願いを込めました。「東京がひとつになる日。」から生まれる力は、何ものにも代えがたい、唯一無二のものだと思っています。そして、その大きな力で想いがひとつになると、想像を超えるようなものすごい事が実現できると信じています。

「東京マラソンがあってよかった」と、ひとりでも多くの方に思っていただくことを願っています。

 

――その他 東京マラソンへの想いをお願いします

 一度も走ったことがない東京マラソンをいつかランナーとして走ってみたいです。2025シーズンからアボット・ワールドマラソンメジャーズにシドニーマラソンが加わったので7大会制覇を目指しを目指し、最後は東京マラソンで達成することが夢です。それまでも、その後も、みんなにとっていつまでも走り続けることができる環境が保てるように、そして、担当業務を通じて、より良い大会運営が続けられるように尽力してまいります。

東京マラソンへのさまざまな形でのご参加をお待ちしております。

また、引き続きのご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 

Information

*1東京マラソン財団チャリティ RUN with HEARTブログはこちら

 東京マラソン財団のサステナビリティの取り組みについてさらに知りたい方はこちら

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