Interview Relay ~42のストーリーで想いを繋ぐ~

My Tokyo Marathon is…? 誰かの喜びに繋がる「支え合う幸せ」を広めたい

My Tokyo Marathon is…? 誰かの喜びに繋がる「支え合う幸せ」を広めたい

東京マラソンへの想いを42のストーリーで繋ぐインタビューリレー。

今回は東京マラソン財団ボランティア事業部 島田 美れ井さんです。

オフィシャルボランティアクラブ「VOLUNTAINER」の運営、ボランティア育成などを担当する立場から見た東京マラソンの魅力や価値、そして節目となる2027年の20回大会に向けた展望などを語っていただきました。

 

ボランティアが笑顔で楽しく活動する場をもっと創りたい!

千葉県館山市でマラソン大会の運営を担当していた頃の島田さん

――過去の経験や背景なども踏まえ、2018年に東京マラソン財団の職員になられた経緯を教えてください。

 財団に入職する前は、地元である千葉県館山市で行政職として10年間働いていました。様々な部署を経験する中で、スポーツ課に配属され、約1万人規模のマラソン大会の運営を担当していました。当時は道路許可の申請や団体との調整など様々な業務を行っておりましたが、中でもボランティア運営をしていく中で、大会当日のボランティアが笑顔で楽しそうに活動する様子を見て「このような場をもっとたくさん創りたい」という想いが強くなり、2018年4月に東京マラソン財団に転職いたしました。

 

――東京マラソンの職員になる以前は東京マラソンのことをどのように感じていましたか?

 私が東京マラソンを知ったきっかけは、とあるセミナーに参加した際に投影された東京マラソンのボランティア動画(Thank you Volunteer)でした。初めて見た時、ボランティア一人ひとりがランナーに一生懸命声援を送り、笑顔で活動している様子に感動し、心を動かされたのを今でも覚えています。当時、マラソン運営に関わり始めたばかりだったので、ランナーやボランティアに限らず、画面越しでも感動を届ける東京マラソンは素晴らしいと感じていましたし、担当していた大会も東京マラソンに少しでも近づけたいと考えていました。

 

VOLUNTAINERとスポーツボランティア文化の醸成

海外ランナーからも賞賛され、スポーツボランティア文化を牽引するVOLUNTAINERの皆さん。東京マラソン2024での活動の様子

――ボランティア事業部が主体となり運営しているVOLUNTAINERについて教えてください。

 VOLUNTAINERは、東京マラソン財団オフィシャルボランティアクラブとして、2016年10月6日に設立されました。東京マラソンをはじめ当財団が募集するイベントにボランティアエントリーする場合、登録が必須となります。2024年10月末時点で会員は約29,000名います。

VOLUNTAINERでは、ボランティア募集に限らず、年間を通じてボランティアの育成も行っています。日常にも役立つ救命講習や障がい者対応などのスキルアップ講習、ボランティア体制で重要な役割を担うリーダーサポート*1やリーダー*2に向けた研修等を実施し、ボランティアの皆さんが安心して楽しめる環境づくりに繋げています。

リーダー研修に関しては「内容自体が面白い!」「仕事や家庭にも役立つ!」と口コミで広まり、毎年大変多くの方からエントリーをいただきます。また、年に一度、会員同士の交流やスキルアップを目的とした「VOLUNTAINERミーティング」を継続的に実施することで、スポーツボランティア文化の醸成を目指しています。ここではお伝えし切れない様々な取り組みも行っていますのでVOLUNTAINERサイトやメルマガをご覧いただければと思います!

 

――東京マラソンならではのボランティアの魅力、VOLUNTAINERという組織の魅力について教えてください。

 まず東京マラソンのボランティアの魅力は、やはり一体感だと思います。ボランティアの皆さんの笑顔やホスピタリティ溢れる活動で、一人でも多くのランナーをスタートへ送り出そう、フィニッシュへ導こうとする想いが一体感を生んでいると思います。

またボランティアメンバーの笑顔をつくりだし、安全安心なボランティア運営に繋がっているのが、リーダー、リーダーサポートの存在です。これはVOLUNTAINERの魅力でもあると考えますが、毎年東京マラソンのボランティアアンケートにはリーダーに対する労いや感謝の言葉がたくさん届いています。また、リーダーに勧められてリーダー研修にトライする方もいらっしゃったり、リーダー同士で他大会にグループで参加されたり、分からないことがあったらフォローし合う。ボランティア同士で高め合い、また成長を喜び合う関係が生まれるのも魅力かな、と思います。

 

――東京マラソンのボランティア活動及びVOLUNTAINERの取り組みが(スポーツ)ボランティア文化の醸成や発展に影響を与えてきたと考えていますか? そうであれば、それはどのような影響だと考えますか?

VOLUNTAINER運営協力の一環として、しまだ大井川マラソンのボランティアに向けた初心者向け講習をした時の様子

 東京マラソンのボランティア体制や育成制度に興味を持ち、VOLUNTAINERへ運営協力のご相談をいただくことがあります。運営協力とは、地方のボランティアに向けた「ボランティアリーダー講習会」や「初心者向けセミナー」の実施、またメルマガでVOLUNTAINER会員へ他大会のボランティアを募集して派遣するボランティア協力などを実施しています。

以前、とある大会からボランティアが集まらないという相談があり、急遽VOLUNTAINERで募集をした結果、必要数が集まり、大会終了後に主催事務局より「VOLUNTAINERの皆さんの対応が素晴らしかった。またぜひお願いしたい!」と高く評価いただいたこともあります。これも、VOLUNTAINERの皆さんが東京マラソンをはじめ様々な活動の中で経験を積んだ賜物だと考えています。別の大会でも、地元のボランティアと一緒に活動した際、地元の方から「また来てほしい。次は私も東京マラソンで活動したい!」と言っていただき嬉しかったという話も聞いています。

この運営協力を通して、VOLUNTAINERが東京マラソンに限らず、活動の範囲や人との出会いを広げ、そしていろんな活動での経験や気づきをまた東京マラソンで活かしてもらうことが、スポーツボランティア文化を醸成させると考えています。

 

――VOLUNTAINERのみなさんへの想いを教えてください。

VOLUNTAINERの皆さんには心から感謝し、大切な存在と語る島田さんとVOLUNTAINERの皆さん(VOLUNTAINERミーティング2023時の様子)

 まず私個人としては、VOLUNTAINERの皆さんからは学ぶことばかりで、その一つとして物ごとをポジティブに変換する力が非常に高いことです。事務局の私たちに対しても「ありがとう!」「あの時は助かった!」など感謝や労いの言葉をいただいたり、「説明の時はもっとこうすると伝わるよ」など入職時からたくさんフィードバックをいただき、VOLUNTAINERの皆さんに育てていただいたおかげで今の私があると強く感じています。私はボランティア現場や研修などで皆さんに会うことで元気をもらっています。東京マラソンに参加してくれる、また東京マラソンを好きでいてくれるボランティアの皆さんには本当に心から感謝していますし、大切にしたい存在です。

次に、ボランティア事業部としてですが、大会終了後のボランティアのアンケートを読んでいると、「楽しい1日をありがとう」や「スタッフの皆さんも体に気を付けて、お疲れ様でした!」などメッセージをいただくこともあります。説明会の時なども体調を気遣って下さったり、家族のような存在だと感じる場面がたくさんあります。VOLUNTAINERの皆さんとは“ボランティアと事務局”という関係に留まらず、皆さんが楽しかったことや嬉しかったことの喜びを生涯ずっと共有し、分かち合える関係でありたいと思います。今後も皆さんに「VOLUNTAINER最高!」と思っていただけるよう頑張りますので、引き続きよろしくお願いいたします!

 

ボランティアでないと味わえない体験、喜びがある

――“東京”にとって東京を舞台に開催する東京マラソンの存在、価値は何だと思いますか?

 以前、「スポーツボランティアという文化を日本に広めたきっかけは東京マラソン」という話を聞いたことがあります。その時、東京マラソンの持つチカラの凄さを感じました。先ほどボランティアの魅力は一体感とお話ししましたが、私はそのボランティアのチカラが、街との一体感も生み出して更に結束させ「東京がひとつになる日。」を実現していると感じています。

 

――ボランティアにとって東京マラソンの存在、価値とは何だと思いますか?

 ボランティアにしか見られない光景があるなと思っていて、ボランティアのアンケート回答を紹介します。

「完走メダルをランナーに配付する活動でした。各々の想いを持って東京マラソンに挑んだランナーの喜怒哀楽を肌で感じられた事、他では体験できない経験をさせてもらいました」

大会当日、参加者に一番近いのがボランティアです。スタート前にランナーから手荷物を受取る際「いってらっしゃい!」と送り出し、コース上の給水を提供する時「あともう少し!頑張って!」と声援で背中を押し、フィニッシュ後のメダルを掛ける際に「お疲れ様でした!」と労う。その時の景色やランナーからの「ありがとう」はボランティアでないと味わえない体験であり、喜びがあると思います。また、海外ランナーに英語で案内をした際に「Perfect!」と言われたことが嬉しくて、今でも英語を学び続けている方もいらっしゃいます。普段の生活の中で交わらない人との出会いを通して、日常にはない充足感や自己実現を味わうことができると考えています。

 

――東京マラソン財団は、「世界一安全・安心な大会」、「世界一エキサイティングな大会」、「世界一あたたかく優しい大会」を3本の柱にして、『世界一の街東京で、世界一の東京マラソン』を実現していきたいと掲げています。これについてボランティア事業部としてどのように感じ、どのような取り組みを行なっていきたいと考えていますか?

 私たちはこの3つの柱のうち、特に「世界一あたたかく優しい大会」をボランティアが持つチカラで実現したいと考えています。「誰でもどこでも支える誇りを持って活躍できる」場の提供として、小中学生でも参加できるVOLUNTAINERジュニアや、海外ランナーの同行者を対象に募集する海外ボランティアの取り組みも2024大会から実施しましたが、まだ通過点だと感じています。20回大会に向けて、この取り組みを拡大し活動の多様化を図りながら、これまでの大会を支え続けてくれたボランティアの皆さんへ感謝を伝える場を設け、歴史と未来をつなぐ「あたたかく優しい大会」に向けて取り組んでいきたいと思います。

また、VOLUNTAINERの皆さんもアイデアとユーモア溢れる方がたくさんいらっしゃるので、一緒につくり、盛り上げていきたいと思いますが、世界を知ることで「世界一」が見えてくると思うので、VOLUNTAINERで東京マラソンも加入している世界メジャー大会(アボット・ワールドマラソンメジャーズ)の海外大会へのVOLUNTAINER団体参加とかやりたいですね。

 

VOLUNTAINERをいつでも帰れる心地良い場所にしたい

年に1度東京マラソンという集まる居場所、VOLUNTAINERという場所はいつでも帰れる実家のようなあたたかく心地良い場所にしたいと語る島田さん

――ご自身にとっての東京マラソンとは? #MyTokyoMarathon is…?

 My Tokyo Marathon is happiness of supporting each other. (支え合う幸せ)

ボランティアに参加している方から、「ランナーを応援しているつもりが、“ありがとう”と言われると逆に元気をもらえる」、「38,000名のありがとうをもらった」という話をよく聞きます。主体的に活動することで、たくさんの感謝や労いの声がボランティアに届き、それが「またボランティアをやりたい!」、「明日からまた頑張ろう!」と誰かの喜びや活力となり、幸せに繋がっていると感じています。支えているつもりが支えられている、このような環境の中で仕事ができること自体幸せですし、これからもたくさんの人たちにこの幸せを感じてもらえるよう取り組んで行きたいと思います。

 

――その他 東京マラソンへの想いをお願いします。

 私は当財団の入職時のエントリーシートに、VOLUNTAINERにとって東京マラソンを「実家」のような存在にしたいと書きました。それは、普段はみんなそれぞれ地元やいろんな場所でボランティア活動をするけれど、お正月になると家族が実家に集まるみたいに、年に1度、東京マラソンという集まる居場所がある。そして参加すると知り合いの誰かに会って安心したり笑顔になる。そんな皆さんの居場所にしたいという想いでした。その想いは今も変わりませんが、VOLUNTAINERという場所は、いつでも帰れるあたたかく心地良い場所にしたいと考えています。

 

*1リーダサポートについてはこちら

*2リーダーについてはこちら

東京マラソンオフィシャルボランティアクラブVOLUNTAINERについてはこちら

 

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